「なんだ? 読みたいのか?」

「あ、うん。あと上の方の本も何があるのか知りたいかなと……」

「見に行けばいいだろ?」

「でもその方法が分からないよ」

「? 分からないはずないだろう? あんただったらどうやって本を取る?」

「どうやってと言われても……出来ないから困ってるんだよ」


堂々めぐりの会話をしている様な気持ちである。するとそこにライオンさんが一つ、重ねる質問を変化させた。


「じゃあどうなってたら本が取れる?」

「どうなってたら……? うーん……じゃあ、こう壁に沿って、螺旋階段が上までぐるぐる続いてたら登りながら確認出来て良いのかも……」


顎に指を当ててうんうんと、頭の中で想像してみる。うん、それなら良い感じかもしれない。


「外観の感じとかに合わせて、洋館にありそうなアンティークな螺旋階段とかおしゃれで良いなぁ。上まで登り切るのは一苦労かもしれないけど、途中で見つけた本を階段の途中で読んだりして、ちょっとずつ制覇していったら楽しそう。魔法使いだったら杖を振って魔法で本を取ったりするんだろうけど、魔法は使えないからね。あ、もしかしてライオンさんは魔法が使える?」


パッと考え事から覚めて隣のライオンさんの方を見ると、ライオンさんはほら見ろと壁の方へ目をやるので、素直にそれに従い目を向けると、


「……へ?」


——そこには、想像通りに壁を沿って天井まで登っていく立派な螺旋階段が。


「魔法使いはあんただったな」


にやりと笑うライオンさんに、ポカンと口を開けたまま首を傾げる事しか出来なかった。