「僕は死ぬ。僕のことより姉さんのこれからの方が大事だ。お願いだから幸せになって欲しい」

 いいから、今は、ゆっくりと眠りなさい。優しすぎる。不器用で薄幸な弟……。マリアは、この時、ふと慈しみの感情を抱いて微笑んだ。
 
「あたしなら大丈夫よ」

 今度こそ、あの娘から輝を奪ってみせる。心の底で決意しながら弟に告げたのだ。

「忠告、ありがとう。参考にするわ……」