おそらく、輝はテリの生まれ変わりなのだろう。なぜなら、人種や骨格が変わろうとも眼差しがソックリだ。

『イーリス、よく来たね』

　そう言って、イーリスを迎え入れたの若き王のアルダンの眼差しは穏やかだ。

　当時のアルダン王はケイのように華奢な美青年ではなかった。恰幅も良くて顔も凡庸だ。

　それでも、ゆったりとした物腰や知的な物言いがケイと重なる。イーリスがテリの子を生んだことを現世のケイは分かっているのだろうか。

　若き王とイーリスの結婚式の様子を見つめるテリの眼差しは複雑だ。テリとイーリスは身分が違う。それなのに、二人は熱を含んだ眼差しで互いを求め合っている。

（ああ、駄目。あなた達は好きになってはいけないのよ）

夢に向けて叫んだ時、ふと目覚めていた。枕元にいる熊のぬいぐるみと目が合った。花梨は、全力疾走したかのような胸の苦しさを感じていた。

（すごくリアルだったわ。もしかして、これが前世の記憶なの……？）
　
（あたし、もっと輪廻について知りたくなってきたな……）

　花梨は、自分の前世を教えてくれそうな人を求めてスマホで探すことにしたのだ。