「祝詞を読むと、霊力が俺達の言葉に乗って言霊になるんだよ!」
なるほど、それで「言葉を操る」ことが出来るんだ。
「祝詞の種類や語彙の多さによって、霊力の消耗も変わってくるんだけどね、報告祭で唱えた禊祓詞はほんっとに超簡単な祝詞なんだよ! 走る前の準備体操みたいな!」
とういことは、わたしは準備体操の時点で倒れてしまったということ……?
置き換えるとつまり、私は走り出す前の屈伸運動ですら耐えられないほど力がないということだ。
「大丈夫だよ、霊力は増やすことができるから。僕らだって子供の頃から、増やす訓練をしてここまで来たんだし。何も知らなかった巫寿は仕方がないよ」
嘉正くんはそう言って励ましてくれたくれたけれど、なんだか情けない気持ちで顔を上げることが出来ない。
「……ばか慶賀」
「うえ!? なんで俺のせい!?」
嘉正くんがじろりと慶賀くんを睨んだので、慌てて「本当のことだから」と仲裁する。