神楽殿のざわめきはたちまち止んで、みなが舞台に視線を注ぐ。
「ただいまより、神職奉仕報告祭を執り行います」
明朗な声でそう言った男性は、「ご起立ください」と続けて言った。
皆がぱらぱらと立ち上がり、自分も遅れまいと立ち上がる。
「禊祓詞奏上。新入生は入学案内の禊祓詞の頁を開き、読み上げるように」
そう言われて、何が何だか分からずに先程見ていた頁をいそいそと開いた。しかしよく見回すと、入学案内を開いているのは私くらいで、みんな舞台を見つめて黙って待っている。
なんだか恥ずかしくなって、身を縮める。
「礼」
条件反射のように一二三のリズムで頭を下げれば、自分だけが少しタイミングがずれているのが直ぐにわかった。
深く頭を下げる前に小さな礼を挟み二礼。
ひょっこりと自分だけが一番に頭をあげて、酷く恥ずかしい気持ちになった。
二礼の後は切れのある柏手で二拍手が揃う。
それは神社のお参りと同じ作法だった。