ゾロゾロと鳥居をくぐっていく人の流れに乗って私達も歩き出す。
鳥居の前に立つと、先が見えないほどの長い石階段が広がった。大きさの違う苔むした石が敷き詰められ、長い間踏まれたのか表面は滑らかに整っている。そして階段の数だけ朱色の鳥居が立ち並び、その左右には桃の木がずっとどこまでも広がる。
薄暗いその道を、火の灯った石灯籠が照らしていた。
幻想的な景色に息を飲んだ。
「綺麗……」
「桃の木は魔除の力があるんだ」
「そうなんだ」
「春は桃、初夏は紫陽花、夏は百合、秋は薄、冬は柊が咲くようになってる。全て魔除の花で、校章のモチーフになってるんだよ」
ほう、と息を吐きながら階段の先を見上げる。
それにしても、この階段はどれくらい先まであるんだろう?
先が全く見えず、どこまでも石階段が続いているように見える。
「この階段って、何段くらいあるの? 私、登りきれるかな……」
そう弱音を漏らすと、慶賀くんは「ひひっ」と悪戯に笑う。
「数え切った学生は居ないよー。みんな10段まで数えれば、もう数えられなくなるから」
「えっ」
それほど登り切るのが大変ということなのかな?
今度は違う溜め息をついて階段を見上げる。
「行くよ、二人とも」
嘉正くんに促され、腹を括って鳥居をくぐった。