みんなが花札にすっかり飽きて、簾から差し込む光がオレンジ色に変わった頃。
がたごと揺れていた車がゆっくりと停車した。
「着いたね」
本を読んでいた嘉正くんがパタンと畳んで顔を上げる。
寝転がって居眠りしていた慶賀くんを二人がかりでたたきおこす。
「んー……もう着いたの?」
「着いたよ。みんな降り始めてるから、早く支度整えて」
むにゃむにゃと返事をした慶賀くんは、ふらふらした足取りで荷物を取りに行く。
私も急いで置きっぱなしのリュックをとって、二人に駆け寄った。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…