慶賀くんと嘉正くんと三人並んで後方の屋形を目指す。
館を移ると緑色の制服を着た人達がチラホラといた。
嘉正くんから、上級生だと教えられる。
「みんなこの車に乗って学校へ行くの?」
「ほとんどがね。三年生から自分の社の御神馬さまに乗って行くことが許されるから、この車に乗ってるのはほとんど一二年生だけど」
「ごしんめさま……?」
「お社にいる馬だよ。その社でお祀りしている神さまがお乗りになる白馬のこと」
私たちが自転車に乗るみたいに、嘉正くんは「馬に乗る」と言った。
またしても、全然違う世界に来てしまったんだと思い知る。
一番後ろの館に着くと、そこは荷物置きのようでスーツケースやダンボール箱が積み上げられていた。
少しだけ見慣れたものを見つけて安心する。
何人かの人だかりが出来ている所へ歩み寄ると、その中心に竹で編まれた籠が三つ置いてあった。
名前の札が着いた麻紐で、一人一人の制服が綺麗に畳まれ縛ってある。
そこにいた人達とは知り合いらしく、嘉正くんたちは親しげに話し始める。
輪の中に入る勇気はなくて、先に自分の制服を探すことにした。