「車に乗れば、直通だからそのまま学校に着く。学校に着くまでは、迎門の面は付けたままだからな。巫寿のことは知人に頼んであるから、困ったことがあったらその人を頼りなさい」


改めてそう言われ、当たり前だけれど学校なのだから禄輪さんが一緒に行くことは出来ないのだけれど思い知る。

ここまで頼れる人は禄輪さんしかいなくて、ずっと面倒を見てもらった。

かむくらの社から帰っても、一日に一度は家に寄ってくれたし、お兄ちゃんの病院にも可能な限り付き添ってくれた。


急に不安が込み上げてきて俯く。


禄輪さんは小さく笑って私の頭を軽く叩いた。



「大丈夫。あの学校はこの世界で一番安全な場所だ。何より、私が信頼を置いている人物がいる。きっと不便はしない」

「その人って……」

「教員だ。神々廻薫(ししべくゆる)という名前の男だよ。今年は1年生を担当するから、巫寿の担任だな」


私の担任の先生なんだ。

禄輪さんがここまで信頼を置いている人なら心強い。






「暫く騰蛇《トウダ》は巫寿に預けるから、俺と連絡を取りたい時は騰蛇に頼みなさい」



意を決めてこくりと頷けば、禄輪さんは励ますように私の背中を押した。