かむくらの社で過ごしてから一週間もしないうち、禄輪さんから木箱を受け取った。

木箱の中には迎門の面と入学案内が入っていた。

木の軸に朱色の表紙がついた巻物で、内容は崩した文字で書かれていた。

禄輪さんに代読してもらって、入学式のことや寮生活の事が書かれていることが分かった。


学校へ行くためには専用の乗り物に乗らなければならないらしい。

多分、スクールバスみたいなものだろう。

在校生は毎年、迎門の面をつけて鬼脈を通り、列車の乗り場となる社へと向かうのだとか。


「それにしても、今年の集合場所は近くて良かった」

「毎年乗り場が違うんですか……?」

「ああ、毎年日本国内のどこかの社だ。学校の御神馬さまは気まぐれだからな。鬼脈で繋がっているとはいえ、沖縄や北海道の社に行くのは流石に時間がかかるんだ。鬼脈でショートカット出来るとはいえ、ここは徒歩しか手段がないからな」


ごしんめさま? と聞き返そうとしたその時、禄輪さんが「見えたぞ」と指を指した。

その先には朱色の鳥居があって、私たちが来る時に通ってきたものと似ていた。



どうやらこの鳥居が、集合場所の社へ繋がっている鬼門らしい。


行くぞ、と言われ恐る恐る門をくぐる。


その瞬間、ぐるりと視界が反転する感覚がして視界が真っ黒になった。