「出たかったなぁ、奉納祭。俺、形代レースの練習してたのに」
泰紀くんが残念そうにそう言ったので、薫先生はからからと笑った。
「そんな君たちに、もっと残念なお知らせ。二ヶ月間の遅れを取り戻すために、夏期補習が決定しました〜、あはは」
えええー!? とみんなの声が揃った。
「本気で言ってんの!? これから夏休みだぜ!?」
「そんな成績取っといて、よく夏が来ると思ったねぇ」
ひゃひゃひゃ、と笑い転げる薫先生に、特に慶賀くんと泰紀くんが顔を真っ青にして絶句する。
「大丈夫、朝から晩までみっちり勉強すれば二ヶ月の遅れなんてすぐ取り戻せるよ」
そう言って薫先生は、一枚のプリントを私たちに配る。
『ワクワクッ!真夏の集中補習★ 〜薫先生と愉快な仲間たち、真夏の大冒険!〜』
タイトルにそう書かれたプリントには、2週間分の時間割が文字のごとく朝から晩までびっしりと書かれていた。
二ヶ月も休んでいたんだ、仕方ないっちゃ仕方ない。
みんな分かってはいるもののショックが大きいようで、力なくベッドに腰を下ろした。