私たちが倒れたあとの話を聞いた後、次は私たちが見たことを話した。

初めは嬉々先生を疑っていたけれど、真犯人は方賢さんだったこと。

力を手に入れたいあまりに、禁忌に触れてしまったこと。



『ほんとに馬鹿だよねぇ。階級に執着するのは、人間の愚かさの象徴だよ。そもそも方賢は、正階以上にはなれない。ましてや神職にすらなれないはずだったのに』

『どういうことですか?』

『神職諸法度のひとつ。神修への就学前に他者を呪殺した呪者は、明階未満の階級とする。また、権禰宜以上の神職としての奉仕を禁ずる……ってのがあるんだよ』

『でも、方賢さんは権禰宜として社に勤めてましたよね……?』

『成績は優秀だったんでしょ? 喧鵲《けんじゃく》禰宜頭の計らいだろうね』


その言葉に胸がきゅっと締め付けられる。

方賢さんは誰からも評価されない事に苦しめられていた。他よりも劣っていると思い込み、その悔しさがいつの間にか憎悪と化してしまった。


けれどもちゃんと方賢さんを見てくれていた人がいたんだ。評価してくれていた人がいた。


それに気が付けていたら、きっとこんなことにはならなかったはずなのに。