『巫寿たちと同じ状況だよ。あの人の場合取り込んだ瘴気は君たちより遥かに多い。もはや、その魂ごと呪われてしまったと言ってもいい。目が覚めることはないだろうし、目が覚めたとしてももう二度と陽の光を浴びることは無い』


それは体の自由が聞かなくて外に出ることが出来ないという意味では無いことくらい、私にでもすぐに分かった。

方賢さんの犯した罪はそれほど重いということだ。

可哀想だとは思わない、けれど自然と涙が溢れて止めることが出来なかった。


『関わるなって言ったのに。ほんとキミらはセンセイの言う事聞かないね』


薫先生はぽんぽんと私の頭を叩いた。


もしも方賢さんが恵まれた環境にいたら。

社の子供として生まれて、神職が周りにいて、初等部から神修に通えていたら、あんなにも深い憎悪に苦しめられずに済んだかもしれない。


似たような境遇だったからこそ方賢さんが抱えていた苦しみや辛さが理解できて、想わずにはいられなかった。


方賢さんは、私たちが彼をあえて役職をつけず「方賢さん」と呼んでいたことに腹を立てていた。

でもそれは、方賢さんが私たちに他の神職さまたちよりも親しげに接してくれたからだ。


私たちと方賢さんは親しいのだと思っていたけれど、それが方賢さんの心が離れる原因になっていたんだ。