やがて頭の横で鈴の音がやんだ。

気配を感じるが、それはまるで濁流の中にいるような激しいエネルギーを発している。


人ならざるものなのだと、すぐに分かった。


圧迫感が強すぎるあまり、顔を動かすことすら出来ない。

するとその人は、すうっと手を差し伸べて私の額に触れた。

まるで泉の中に手を入れた時のように、ひんやりと心地よい感覚がした。



『ようやった、巫寿』



木管楽器のような心地よい響きの声だった。

それを聞いた瞬間、ああ、もう大丈夫なのだと身体中の力が抜ける。



『愛い子らよ。今しばし、深い眠りに』



その指が私の瞼にそっと触れた瞬間、意識が頭の奥底へ引っ張られる感覚がして誘われる眠気に身を任せた。