「直き正しき眞心もちて 誠の道に違ふことなく 負ひ持つ業に励ましめ給ひ 家門高く身健に 世のため人のために尽さしめ給へと 恐み恐みも白す────!」
りん、と鈴の音が響いた。
まるで頭の中に直接響いたかのようにそれはクリアに聞こえた。
次の瞬間、瘴気の圧力とは違う、とてつもない圧迫感を感じて息を詰まらせた。
世界が生まれた瞬間に吹き抜けたような何にも染まらない清浄な風がどこからともなく吹き抜ける。
それは春風のように温かく秋風のように冴え渡り、清水のように清らかで子守唄のように心地よい。
その風は瘴気を吹き飛ばすのではなく、まろい光を発しながら柔らかく包み込んだ。
光は細かい粒になって、小雨のように降り注ぐ。
その光の粒がまた瘴気を包み込み消えてゆく。
浄化の雨のようだ、とそれをぼんやり見上げた。
りん、りん、とまるで足音のようにすずが鳴り響き近付いてくる。その度に胸が詰まり、圧迫感を感じる。
瘴気の時とは違う、それは畏怖で体が強ばるような感覚だった。
抗えない巨大な力が、迫ってきている。