私が立ち竦んだせいで、来光くんが呪いを被ったんだ。

額に汗を浮かべて、それでも笑顔をうかべる来光くんに涙がこぼれそうになった。

さっきもそうだ、私は皆に守られてばかりだ。



お兄ちゃんの時も、お父さんとお母さんの時も、禄輪さんと出会った時も。

みんなが必死になって戦っているのに、何一つ役に立てていない。


私を助けてくれたみんな、仲間に引き入れてくれたみんな。

私の言葉を信じてくれたみんなまで、また失うの?


────そんなの、絶対に嫌だ。


滲む目頭を手の甲で拭った。


「来光くん、この御札どうしたらいい!?」


来光くんが右手に握っていた御札を受け取て、自分を奮い立たせるように大きな声でそう尋ねた。


「鳥居に、貼り付けるだけで良い……! 上手くいけば、結界が瘴気を封じてくれるっ」

「わかった……っ!」


まるで台風の中にいるみたいだ。

少しでも気を許せば、吹き出す瘴気に煽られて体が飛ばされてしまいそうだ。

震える膝に力を込めて立ち上がった。