慶賀くんと泰紀くんが先頭になって飛び出した。見計らったように方賢さんは形代に息を吹きかけ、私たちに向かって放つ。

むくむくと人の大きさなると、さっきと同じように私たちを押さえ込もうと迫ってくる。


「同じ手に何度も引っかかるかっての!」


そう叫んだ泰紀くんが拳を大きく振りかぶって、形代のど真ん中に打ち込む。ばり、と音を立てて穴が開けば、形代はポンと音を立てて元の大きさに萎んだ。

形代は便利だけれど外からの攻撃、とりわけ水や衝撃に弱い。押さえ込まれる前にこちらが攻撃できれば、大した敵にはならないんだとか。

ち、と舌打ちした方賢さんは次々と新しい形代を投げる。


その形代が目の前で大きくなり私に向かって手を広げた。「きゃっ」と悲鳴を上げてその瞬間、


「しゃがんで!」


嘉正くんの声に、咄嗟に頭を庇うようにしてその場に小さくなる。

聞いたことのない祝詞が聞こえたかと思えば、目の前の形代がぼうっと炎に包まれて燃えた。


「巫寿は俺たちの後ろにいて!」

「わ、わかった!」