自分が持つ力はその学校では特別ではなかった。
みなが同じように力を持ち、自分以上にその強い力を使いこなしていた。
今、彼らに追いつくことが出来ないのは仕方がない。なぜならば、彼らは自分とは違い幼少期から相応しい環境にいたのだから。
けれど、僕には迎えが来た。
わざわざこの僕に迎えが来たのだ。僕が優秀だから。僕が特別で、僕が神の子だから。
スタートは遅れたかもしれないが、いずれ誰をも凌駕する。
きっと誰よりも優秀な神職になり、いずれは「まねきの社」の宮司に選ばれる。
はず、なのに。
「草薙《くさなぎ》翔五《しょうご》、明階二級昇格。一方賢、正階三級維持」
「うええええっまじっすか!」
「翔五、うるさいぞ。嬉しいのは分かるが落ち着け」
自分よりも知識が乏しく、言動も神職に相応しくない。考えも浅はかで軽率。
そんな男が、なぜ私よりも上にいる?
「喧鵲禰宜頭、納得できません! 私に何が足りないのですか!」
「方賢はよく学びよく勤めている。ただ、まだ昇格するその時ではないだけだ」
その時ではない?
では、いつ私は上に上がれるのですか。