「────大変悲しいお知らせをしなければなりません。クラスメイトの本郷さんが昨日突然亡くなりました。心臓発作だったようです」


ひとり、ふたり。

クラスから生徒が消えていき、代わりに机の上には花が活けられた花瓶が増える。



ああ、まるで神さまが僕を守ってくれているようだ。

僕を虐げるやつたちに、どんどんバチが当たっていく。どんどん消えていく。

神が、僕の願いを聞き入れて守ってくださっているんだ。


なんて気分がいいんだろう。

これで僕を罵倒するひとはいない。僕を敬い、畏れ、また「神童」だと言う。


そうだ、これが正しい姿。

特別な力を持つ僕にふさわしい場所。



「一方賢さん、貴方は「神役修詞中等学校」への編入が認められました。そこで言霊の力の使い方を学び、神に仕える神職になる知識を得るのです」


中学2年生の冬、黒いスーツをきた男が木箱を抱えて家へ現れた時には、「ああやっとか」と安堵した。

やっと自分の力が認められた。やっと自分と力にふさわしい場所へ行くことが出来る。

自分が神童で、神の使いで、優秀だから。


そうして方賢は、中学三年へ進学すると同時に神役修詞中等学校へ編入することになった。