睨むように方賢さんを見上げれば、方賢さんは顎に手を当てて首をひねった。


「どうしましょうかね。口封じのために殺そうと思ってましたが、私の手を汚さなくても放っておけば勝手に死にそうですし」


そう言われてハッと周りを見た。

青い顔をしたみんなが抵抗する力もなくぐったりと床に伏せている。ハッと内ポケットに入れていた札に手を伸ばせば、指先が触れた途端さあっと砂のように崩れる。

札の効果が切れてしまって、瘴気にあてられたんだ。


「な、なんでこんなこと」


震える声でそう問えば、方賢さんはニコリと微笑んだ。


「いいですよ、退屈しのぎに答えて差し上げます。これから悲願が達成できるので、気分がいいんです。……まあ答えたところで貴女がたには死んでもらいますので、無意味だとは思いますが」


私のそばにしゃがんだ方賢さんはその白い腕を伸ばし、私の髪を掴んで無理やり顔を上げさせる。

痛みに呻き声がもれた。


「方賢、さ……っ」

「それですよッ!」



聞いた事のない怒鳴り声に体がすくんだ。