次の日は、昨晩に遅くまで起きていたせいか昼前になって目が覚めた。
布団から抜け出すと音もなく、「おはようございます」と襖の外にトウダさんが現れる。
相変わらず慣れなくて上擦った声で挨拶を返す。
昨日と同じように桐箱を抱えて入ってきた彼女は、てきぱきと布団を片付ける。
「先日のお召し物が乾きましたが、本日は如何致しますか」
そう言われて差し出されたのは、中学校の制服だった。
いつの間にか洗濯してくれたらしくシワひとつない。
「あ、じゃあ制服で……」
「かしこまりました」
「あ、あの。これは自分で着替えれます」
昨日と同じように着替えを手伝おうとしたトウダさんに慌ててそう伝えると、彼女は「左様ですか」とだけ答えて直ぐに部屋を出た。
断ったの、良くなかったかな……?
あまりにも淡々とした返事に少し不安になりながらも、セーラー服に腕を通した。