調薬室の前から嘉正くんの記憶を頼りに、あの鳥居へ向かって走った。
廊下を進みドアを通り、その度に辺りの空気が重くなっていくのが感じとれた。
前よりも瘴気が濃い気がする。あまり覚えていないけれど、この廊下を通るときはまだ瘴気を感じなかったはずだ。
「濃いね、瘴気」
「来光の御札がなかったら辿り着くまでにぽっくり逝ってたかもな!」
「ちょっと縁起でもないこと言わないでよ! 褒めてくれるのは嬉しいけどさっ!」
慶賀くんの言う通り来光くんが作ってくれた御札が効力を発揮しているのか、濃い瘴気の中を難なく進ことができている。
ここまではいい、けれどこの先で何が起きるのかは夢では見ることができなかった。見たのはみんなが倒れる姿と、鳥居の奥にいる人影だけだ。
でも、あの夢で見た人影って……。
巫寿? と名前が呼ばれて顔を上げる。
「何か気になることでもあるの?」
「……ううん。大丈夫。急ごう」
「ああ」
嘉正くんは足を速めた。