眞奉の言い分は分かる。でも、もしもの事が会った時に皆を助けられるのは薫先生か禄輪さんだ。



お願い眞奉。今助けを呼べるのは眞奉だけなの。



心の中で必死にそう伝える。

十秒くらい沈黙が流れて次の瞬間、薄い羽織を脱いだ時のように体からふわりと何かが離れる感覚がした。



お怪我なさいませんよう。



耳元でそんな声が聞こえたかと思うと、暖かい風がふわりと頬を撫でて流れていく。

ありがとう、と気持ちを込めてその風を見つめた。