文殿を飛び出して学舎へ続く外の石階段をみんなで駆け上がる。


「でも、ほんとに危険なの。私たちだけじゃどうにもならないかもしれない」


なんの根拠もない私の言葉を信じてくれたみんなには本当に感謝しているけれど、私のせいで危険なことに巻き込むかもしれない。

夢であろうと現実であろうと、もうあんな風にみんなが倒れているところは見たくない。


みんなが険しい顔でお互いの顔を見合せた。


(くゆる)先生に連絡しよう。あの人変わり者だけど、今度こそちゃんと伝えれば聞いてくれると思う」

「それ無理かも。今朝の開門の儀にいなかったから、多分他の任務で外に出てるんじゃないかな」

「他の先生は?」

「そもそも信じてもらえないんじゃねえか? 開門祭初日でバタバタしてるし、あの薫先生が全く取り合ってくれなかったんだぜ」


下足場でスリッパに履き替えると、やはり嘉正くんの一言で調薬室へ向かった。



「取り合って貰えないとしても、メッセージだけでも残しとくべきだよ」

「了解、薫先生にメッセージ入れとく」


ポケットからスマホを取りだした来光くんは素早く片手でメッセージを打ち込み、「オッケー、入れといた」と指で丸を作った。