そんな方賢さんを見捨てるようなことなんて出来るはずがない。

でも、どう説明すればいい?

そもそも夢で見たと言うだけで皆は信じてくれるだろうか。

本当かどうかも分からない、本当だったとしたらとても危険な場所へ行くことになる。

どうしたら、どうしたら────。


「行こう」


ぽん、と肩を叩かれてはっと顔を上げる。

笑った皆が私を見ていた。


「なん、で」

「巫寿が意味もない嘘をつくはずないもん。巫寿がそういうんだったら、俺は信じるよ」


目を見開いてみんなの顔を見た。

うん、と頷いた皆が立ち上がる。


「慶賀ならまだしも、巫寿が言うんだ! 俺は信じるぜ」

「お? やるか泰紀、買ってやるぜその喧嘩!」

「もー、今はそれどころじゃないでしょ!」


いつも通りのみんなの笑顔に、張り詰めていたものがふっと弛む。

ありがとう、と言った声は少し震えた。