「すまん、よく来てくれたな」
親しげに話しかけた禄輪さんに、二人は笑顔で頭を下げた。録輪さんの背中の影から二人を見つめる。目が合うと彼らは小さく微笑んだ。
「お久しぶりです禄輪さん」
「久しぶり。今回は急に無理を言って悪かったな」
「いえいえ、お気になさらず。お互い様ですよ」
親しげに話し込み始めた三人は、少し談笑するとすぐに難しい顔をして話し込み始めた。耳をそばだててもよく分からない言葉ばかりで、何一つ理解できない。
十分近く話し込んだ三人は、やがて一つ息をついた。話は一旦区切りが着いたらしい。
「とりあえず修祓にもう何週間かかかりますが、問題ありません。あと数週間ほどいただければ、元通りにできますよ」
そうか、と禄輪さんは頷いた。
「今日は泊まっていくか?」
「いえ、今日は社へ戻ります。今日は良い月夜なので、妖たちがたくさん参拝しにくると思うので」
赤い袴の女の子もにこりと笑って頷いた。
そして二人は月が一番高い位置になった頃に、何度も頭を下げて帰って行った。