景色はどんどん移り変わって進んでいく。ジェットコースターに乗っているような感覚に近い。

どんどん奥へ進んでいく私たち。そのたびに身震いしそうなほどの嫌な感じが大きくなっている気がする。

この先に危険が迫っている、痛いほどにそう感じる。


同じ私のはずなのになぜ「私」は気がついていないの?

どうして意識だけが切り離されて体は言うことをきかないの?



やがて映像が切り替わるように、パッと目の前にあの鳥居が現れた。

以前にも増して禍々しさがましたその鳥居の奥からは強い風が吹き付けるようにして瘴気が溢れて圧迫する。


はっと当たりを見回せば、皆が床に倒れていた。気を失っているのかピクリとも動かない。

駆け寄りたいのに自分の体はやっぱり言うことを聞かなくて、その場に棒のように立ちつくすだけだった。


鳥居の奥に人影が見えた。

ざ、ざ、と床と雪駄が擦れる音が響く。


「にげ、ろ……っ巫寿!」


はっとそちらに視線を向ければ、頭から血を流した嘉正くんが私に向かってそう手を伸ばした。


何とかしないと、逃げないと、みんなを助けないと……っ。

うごけ、うごけ、うごけ────!