「なんにも変化ないよっ! 今も神修の自分の研究室に籠ってる!」
「なんだよそれっ、どういう事だよ!」
「そんなの知らないよ! 僕の形代はちゃんと仕事してるから!」
ばたばたと学舎へ続く石階段を登って学舎へ飛び込む。
先頭を走っていた嘉正くんが足を止めて、みんな膝に手を着いて息をした。
「まず調薬室に向かおう。鳥居を開けるギミックが決められた場所を通ることなら、調薬室からじゃないと」
そうだね、と相槌をうつのもやっぱり私であって私では無い。
「みんなこれ、厄除けの御札。書宿の明で大祓詞を書いたから、暫くは瘴気を避けられると思う」
ありがとう、と手を伸ばしたその瞬間、目の前がぐにゃりと歪んだ。
そしてまるでテレビの映像を倍速で見ているかのように目の前の景色が流れるように移り変わる。
自分の体はそのスピードに就いていくのに感覚だけが取り残される。
やがてそれがぴたりと止まれば、紫暗の瘴気が立ち込める薄暗い廊下に立っていた。
「瘴気が前より溢れかえってる……」
「どうしてこんな」