日が登れば社頭には沢山の人と妖で溢れかえった。週末の裏の社よりも何倍も賑やかで、沢山の出店が開いていた。
あやかしが営む骨董品屋や古着屋の隣に、人が開くたこ焼き屋やヨーヨー釣りが並んでいるのは他では見られない不思議な景色だった。
人も妖もお互いの姿に驚くことなく祭を楽しんでいるのは、鳥居をくぐればそうなるように呪いがかけられているからだとか。
「巫寿! お疲れ様!」
神楽殿と本殿を繋ぐ朱い太鼓橋から参道を見つめていた私の背中を叩いたのは、衣装から制服に着替えた瑞祥さんだった。
その後ろには聖仁さんもいて「お疲れ様」と私にペットボトルを差し出した。
お礼を言いながらそれを受け取った。
「もう疲れたのか? まだ初日の午前の部が終わったばっかだぞ!」
「しかたないよ、誰だって初日は緊張するもの。巫寿ちゃんはミスなくよくやったよ」
「確かにな! よくやったぞ巫寿!」
ぐりぐりと頭を撫でられて身を縮める。



