「なんでこんな真夜中から怒られないといけないんだよー!」
「罰則がなかっただけマシでしょ」
「べつに遊んでたわけじゃないのに」
一時間後、無事全てのあやかし達を社頭から追い出すことができ、私たちは表の鳥居の前に並んでいた。
まねきの社の神職さま方や神修の先生方全員出席している。ずらりとならぶ神職たちのその中に、見慣れない黒いスーツの集団がいた。
「ねえねえ嘉正くん、あの黒いスーツのおじさん達は誰?」
「ん? ああ、本庁の役員だよ」
へえ、と目を丸くする。
「本庁」と略して呼ばれるそれは、正式名称は「日本神社本庁」で全国の神職を統括する組織だ。
参道を挟んで社務所とは真反対に庁舎があって、あまり人が出入りするのを見たことがなかったけれど、こういう人達が働いてたんだ。



