うわあ、きゃあ、と騒いでいれば、本殿の方から背筋がゾッとするほどの恐ろしい気配を感じた。
みんなはまだ気がついていないのか泰紀くんを羽交い締めにしたり子鬼たちと追いかけっこをしている。
恐る恐る視線を向けると、まるで般若のように目を釣りあげたまねきの社の本巫女、景福《けいふく》巫女頭がこちらに向かって走ってきていた。
ひ、と息を飲み慌ててみんなを呼び止める。
はっと歩みを止めたみんなは、鬼の形相で駆け寄る景福巫女頭にさあっと顔を青くした。
「逃げるぞ」
「うん逃げよう」
「悪いことはしてないけど逃げよう」
「走れ巫寿!」
子鬼たちを抱き抱えたみんなが一斉に走り出す。
「逃げるな馬鹿者ーっ!」
景福さんの声が深夜の社頭に響いた。



