開門祭一日目に行われる「開門の儀」は、人間が参拝に来る表の社と妖が参拝にくる裏の社の鳥居を繋げる儀式が執り行われる。
一度ふたつの門を閉ざしてひとつに繋げ、ふたつの種族が自由に出入りできるようにするのだとか。
どうやらその際に社の中にいれば開門祭の間、社から抜け出すことが出来なくなるらしい。
簡単に言えば、毎月一日と十五日に行われる結界の張り替えと同じような空間が歪む現象が起きるのだとか。
「あっ、そっちに子鬼が逃げた! 巫寿、挟み撃ち!」
鬼ごっこと勘違いしたのか、子鬼たちが泰紀くんから逃げている。
追いかければ余計テンションが上がったのか「きゃーっ」と楽しそうに悲鳴をあげてあちこちに散らばる。
「クソガキ! しまいには大豆鼻の穴にぶち込むぞ!」
「餓鬼じゃないよー、子鬼だよー」
べぇっと舌を出した子供たちにピクピク眉を動かした泰紀くん。
すると胸の前でパンッと柏手を打った。
「祓い給え清め────」
「ま、待って待って! 泰紀くんストップ!」
「みんなーっ、泰紀が切れて暴走した!」



