大きなあくびは、慶賀くんから来光くんそして私へと伝染して、みんなが眠たげに目を擦る。

寮から社頭へ降りてきた私達は、神職さまの指導の元、社頭にいる妖たちに声をかけて社頭の外へと誘導していた。


まだ日の登りきらない午前三時、あやかし達にとってはちょうど昼間ごろだ。平日なのもあって参拝に来る妖の姿は少ないけれど、なかなか一筋縄ではいかない。


「あ、そこの子泣き爺どこ行くの!」


来光くんが慌てて老人の姿をした妖を追いかける。


「どこって、ちと手水に」

「だめだめ、もうすぐ開門祭だから一旦社頭から出てもらわないと」

「あと半刻も先じゃろう。用を足したらすぐ戻る」

「だーかーらー!」


すんなり出てくれる妖が大半だが、なかなか言うことを聞かない妖も少なくはなかった。


「これ、終わるのかな……? あと一時間で全員外に出すんでしょ?」

「終わらなきゃ一週間も社から出れなくなるからね」


はあ、とため息をついた嘉正くんは鬼ごっこをして遊ぶ座敷童子たちに駆け寄った。