「開門の儀ってそんなに面倒なの?」


隣の席の嘉正くんに尋ねる。


「大変では無いけど、行われるのが裏の社が閉まる時刻……朝の四時か五時なんだよね」


なるほど、たしかにそれは「ええーっ」と言ってしまうのも無理はない。

普段学校がある日は7時起きだし、休みの日なんて昼まで寝ることもしょっちゅうある。起きられるかちょっと心配だ。


「はいはーい! 先生質問! 開門の儀ってのが行われてるのは知ってるけど、具体的に何するの?」

「いい質問だ。開門の儀で主に行われることはひとつ、裏と表の社を繋げるための神社拝詞(じんじゃはいし)を奏上する」


チョークを手に取った先生はカツカツと黒板に祝詞を書いていく。

────掛けまくも畏き 学起(まねき)神社(じんじゃ)の大前を (おろが)(まつ)りて (かしこ)(かしこ)みも(もう)さく 大神等(おおかみたち)の広き厚き御恵(みめぐみ)(かたじけな)み奉り (たか)(とうと)神教(みおしえ)のまにまに 天皇(すめらみこと)を仰ぎ奉り (なお)き正しき眞心(まごころ)もちて 誠の道に(たが)ふことなく 負ひ持つ(わざ)に励ましめ(たま)ひ 家門高(いえかどたか)身健(みすこやか)に 世のため人のために尽さしめ給へと 恐み恐みも白す


他の祝詞に比べればそんなに長くは無さそうだ。