「泰紀が言った通り、方賢さんが弱っちいからじゃない? 正直、俺でも倒せそうだもん」
「こら慶賀、失礼なこと言うな。ああ見えても神職なんだぞ」
「あっ、"ああ見えても"って言った! 嘉正だって片手で潰せそうとか思ってるんだろ!」
「さすがに片手じゃ無理だよ」
「今はそんな話してる場合かッ!」
来光くんの鋭い突っ込みに二人は口を閉じた。
あはは、と苦笑いをうかべる。
「方賢さんを狙うのが最適だった、って考えればなにか見えてきそうじゃない?」
こほん、と咳払いをした嘉正くんは少し頬を赤くして言う。
最適だった?
「巫寿が跳ね返した呪いは、どういうものだったの? 呪いのタイプによっては、効きやすい人と効きにくい人が居たりするんだ」
へえ、とみんなが目を丸くする。
授業で習ったろ、指摘されて顔を見合せて肩を竦めた。
「えっと……確か、手首からから肩にかけてどす黒く変色してたの。ほら、私が特別授業してた時に、課題で薫先生から渡されていた石みたいな」