「守るつってもさ、どうやって守るんだ?」
足元の石ころを拾い上げた慶賀くんは小川にぽちゃりとそれを投げた。
「それは────どうしよう……?」
「相手はあの呪いの使い手の嬉々先生だぜ。俺たちなんて片手で捻り潰せるだろ」
嘉正くんやみんなならともかく経験も知識も浅い私なんて、慶賀くんの言う通りあっという間に倒されてしまうだろう。
「そもそも、嬉々先生はなんで方賢さんを狙ったんだろうね」
「さあ。あのひと気が弱いし、簡単に呪えそうだと思ったからじゃね?」
泰紀くんのあくび混じりのその一言に、ずっと感じていた違和感の正体にはっと気が付いた。
「ちぐはぐ、だよね」
私の問いかけにえ?と首を傾げたみんな。
「いや、ちぐはぐというか……繋がりが分からないというか、動悸がか曖昧というか」
「繋がり? どういうこと?」
そう聞き返されて、膝の上の手に視線を落とした。
嬉々先生が方賢さんを狙っているのは事実として、嬉々先生がなぜ方賢さんを狙うのか、方賢さんを狙って何がしたいのか。
だって方賢さんはまねきの社の神職だ。それなりに実力もある。
どうしてそんな人を狙ったの?
リスクを犯してまで、力のない神修の学生よりも方賢さんを狙ったのは変だ。