「くそーっ、適当にあしらいやがった!」
悔しそうに地団駄を踏んだ慶賀くんは階段下にむかって「いーっ」と歯をむきだして睨みつける。
結局、嬉々先生と薫先生が元クラスメイトという情報しか仕入れることは出来なかった。
「嬉々先生、やっぱ跳ね返ってきた呪いのせいで今日休んだんじゃないかな」
「ぜってぇそうだよ! あの鉄仮面が風邪ひいて寝込む様なタチじゃないっしょ!」
「確かに!」
あはは、と顔を見合せて笑う三人に思わず苦笑いを浮べる。
ふと、嘉正くんだけが着いてきていないことに気がついて振り返る。
嘉正くんはその場で立ち止まったまま、何かを考え込むように顎に触れていた。
「嘉正くん? どうしたの」
「なんか、おかしいと思わない?」
「え?」
歩みを止めると他のみんなも不思議そうに振り返った。
「薫先生、僕らの質問や言葉に何一つちゃんと返事をしてくれなかった。ちゃんと答えたのは"自分と嬉々先生は元クラスメイト"ってだけ」
「それのどこがおかしいの……?」
「のらりくらりとかわしすぎてる。だって、嬉々先生の噂だって、否定すればそれで終わる話でしょ? なのに、俺たちに「何がしたいの?」って」