慌ててその背中を追いかけた。


「薫先生っ!」


廊下を曲がるところでやっと背中に追いつき、首をかきながら薫先生は振り返った。


「おー、どした巫寿」

「薫先生と嬉々先生ってどういう関係ですか?」

「なになに、今日のキミ達いちいち嬉々のこと気にするねぇ」


キミたち、と言われて振り向くと、私を追ってきたのかみんながバタバタと走ってきた。


「思い返してみれば、保健室でも嬉々先生のこと呼び捨てしてましたよね……?」

「よく覚えてんね、そんなこと。なに、俺と嬉々が付き合ってるんじゃないかって思ってんの? あははっ」


なんだかのらりくらりと話を誤魔化されているような気がして、ぐっと拳を握った。



「嬉々先生と薫先生、どういう関係なんですか?」



そう尋ねた私に、薫先生はすっと目を細めた。



「別に、特別な間柄じゃないってば。巫寿や嘉正達みたいに、俺と嬉々も元クラスメイト。それだけ」

「クラスメイト!? じゃ、じゃああの噂って」


慶賀くんが身を乗り出せば、すかさず薫先生の手刀がその脳天に落ちた。

いで、と唸り声を上げた慶賀くんに薫先生はからからと笑った。