「厄除けの効果は呪いを祓うことは出来ても、解くことはできないんだよ。だから、どっちかって言うと、"呪いを剥がす"って表現の方が近いかな」
「じゃあ、剥がしたあとの呪いはどうなるの?」
「元あった場所に戻るんだ。それが物の呪いならまたその物の元へ、誰かによって生み出された物ならば生み出した者のもとへ」
嬉々先生の紫暗に変色した腕を思い出した。
それは私が方賢さんの腕で見たものと全く同じだった。
じゃあ、あの呪いは本当に嬉々先生が方賢さんにかけたものなの?
「嬉々先生────"邪魔するものは呪い殺す"って……」
誰かが息を飲む音が聞こえた。
以前迷い込んだ、学校内に現れた夥しい数の御札が張り巡らされた鳥居。
瘴気に溢れたその場所にいた嬉々先生。
何重にも結界が張り巡らされたまねきの社の敷地内で、瘴気が勝手に溢れるはずがない。
もし────もし、嬉々先生がそれを生み出したんだとしたら?
「来光が前言ってた嬉々先生の噂……間違いじゃないのかもしれない」
"クラスメイトを呪殺したことがあるんだって"