「それで────急にそんな物騒なことを言ったのには訳があるんだよね?」


改まってそう尋ねられこくりと頷く。

それから方賢さんの腕に呪いがかけられていたことと、閉館後の文殿で嬉々先生と方賢さんが揉めていた様子を順を追って説明した。


皆の顔が徐々に険しくなっていき、やがて説明し終わると思い沈黙が流れた。


「えっと……つまり、嬉々先生が方賢さんに呪いをかけたってこと?」


恐る恐る手を挙げて尋ねた泰紀くんに「どういうこと?」と首を振る。


そもそも方賢さんの腕の呪いは解いたけど、それは禁書に触ってしまったからだ。

でも嬉々先生は「私がかけた呪いだぞ」と言って、自分の呪われた腕を見せた。


そのふたつの繋がりがあるとは思えない。


「方賢さんの腕の呪いを祓おうとしたとき、なんの祝詞を奏上した?」

「この前、部活動見学に行った時に究極祝詞研究会で作ったものだよ。短いから効果はそんなに強くないはずだけど、厄除、守護、和合、平癒とか」


なるほど、とひとつ頷いた嘉正くんに来光くん。

慶賀くんたちはよく分かっていないのか私と同じように首を傾げている。


ちょっとだけほっとした。