「ねー、眞奉。授力について何か知ってる?」
「申し訳ありません。妖や十二神使《じゅうにしんし》は授力を持ちません。授力を持つのは限られた神職のみです」
「だよねぇ」
授力は神職にしか宿らない。そしてその力を持つ神職の血肉を取り込むことでその力を受け継ぐことが出来る。
妖がもし授力を持っていたとしたら、その妖は神職の血肉を食らったということだ。
だから十二年前、空亡は授力持ちの神職を狙ったんだ。
「志ようさんは持ってなかったの?」
「お持ちでしたよ。その前の審神者も、審神者はみな授力をお持ちです」
「えっ、そうなの! なんの授力?」
「君と同じく、先を見透す力────先見の明です」
ばくんと心臓が波打つ。
私と同じだ。
「先見の明をどうやって使っていたか、覚えてる?」
「申し訳ありません、そこまでは」
「そう、だよね」
はあ、とため息をこぼす。
授力の使い方は、同じ授力を持つもの同士で口頭で伝えられることが多いのだとか。
文献に残しているものもあるのだろうけれど、みみず文字で書かれたそれはまだ私には読むことが出来ない。