「……うーん。授力ってあやふやな所が多いんだね」
その後、適当な書物を片っ端から読み漁っていた私はそう呟いた。
読んでいた本をパタンと閉じると、片付けを手伝ってくれていた眞奉《まほう》がそれを取った。
「君、これも片付けて宜しいですか」
「うん、ありがとう。よろしくね」
こくりと頷いた眞奉は慣れた手つきでたなにそれをもどした。
部活見学の時に嘉正くんが所属する流鏑馬《やぶさめ》部の部長勇逞さんが読心《どくしん》の明があると言う話をしてから、授力について詳しく知りたいと思っていたところだった。
授力について記載のある書物をいくつか広げたけれど、納得のいく説明を見つけることは出来なかった。
「どうも物によって記載が違うんだよねー……肝心の使い方はどこにも載ってないし」
授力についての説明は様々なものがあって、自分が知っている知識もいくつか記載に当てはまっていた。
けれどいちばん知りたい、その力の使い方については一切の記述がなかったのだ。
はあ、と息を吐いて机の上に伏せった。