「へえ、結局どこにも入らなかったのか」


数日経ったある日のお昼休み、神話舞の稽古が始まった私達は昼休みと放課後の限られた時間で自分たちの担当する部分の練習を行っていた。

今は富宇先生が聖仁さんを付きっきりで教えている個人練習の時間なので、巫女チームの私と瑞祥さんは端で休憩していた。


「はい。究極祝詞研究会は少し楽しそうだなって思ったんですけど、やっぱり今は神話舞もあるし……今はこっちに集中したいなって」

「巫寿は真面目だなぁ! 可愛いなコノヤロウ!」


わしゃわしゃと頭を撫でられて「きゃっ」と悲鳴をあげて笑う。


「にしても、ほかの部は見学に行ったのに、なんで神楽部には来なかったんだよー」

「あはは……色々ありまして」


突然の鬼のようなしごきに落馬、爆発────本当は神楽部にも行こうとは思っていたけれど気力がなかったので行かなかったのだ。


「神話舞が終わったら見学してもいいですか?」

「見学と言わず、仮入部してほしいな」


瑞祥さんとは違う声がして顔を上げる。

首からタオルをかけた聖仁さんが目を弓なりにして私を見下ろしていた。