「────あ、巫寿ちゃんそこ気を付けて。ガラス片まだ残ってるから」
パキ、とガラス片を踏んだ感覚にたたらを踏む。
"爆発"に近かった廊下と反対側の窓は、ガラス部分は綺麗に吹っ飛び、窓枠だけが綺麗に残っていた。
テーブルの上は少しクレーターが出来たように凹んでこれまたまっ黒焦げ。
けれど被害が窓ガラスとテーブルだけで済んだのは不幸中の幸いだった。
「お前はまたとんでもないことを……っ!」
額に手を当てて深いため息をこぼした豊楽先生の前で縮こまるのは、もちろんこの騒動の主犯である慶賀くんだ。
顔は煤を被って、真っ黒になっている。
「何度も何度も何度も言ってるが、ここは薬をつくる部活動だ。爆発性のある火薬をつくる阿呆がいるか!」
「俺だけのせいじゃないよ! 隣にいた亀世《かめよ》パイセンに「入れたらどうなりますか?」って聞いたんだよ!」
不貞腐れた慶賀くんはそう反論した。