はかりで1回分の量を乗せて、頭をくるりと捻じれば完成だ。
「薬の効果は記憶回復、疲労回復、精神安定。高温多湿を避けて保管し、食後ぬるま湯と共に飲むべし……て、ところかな」
小さなカードにそう記した豊楽先生は、『はい』とそれを私に渡す。
「ありがとうございます。これはなんて名前の漢方薬なんですか?」
「漢方学部でつくるものは患者の容態に合わせて神職が代々調合してきた配合の薬だから、名前は無いんだ。これに名前をつけるなら「思い出し薬」だな」
「思い出し薬……」
学期末テスト中にこっそり飲むことは出来るだろうか、とこっそり心の中で考える。
「自分で言うのもなんだが、漢方学部は編入生にはおすすめだな。高等部から学ぶ範囲でもあるし、活動内容は授業の範囲外のことを行うから、知識や見識を深める良い手助けになる」
「なるほど……」
確かに、勉強に繋がる部活動は自分のためになって良いかもしれない。