来光くん曰く、小学生の頃に突然言霊の力が発現し、両親が偶然相談した神社でこの学校への編入を勧められたらしい。

それにしても、そういうのって神社に相談しようと思い立つものなのかな。


「書宿の明の力を無意識に使ったせいでトラブルがあってね。簡単に言うと、クラスメイトを呪っちゃったんだけど。それで、両親が『この子は呪われた子なんです』って神社に相談しに行ったんだよ」

「ご、ごめん」


心の中を見透かしたかのようにそう言った来光くんに咄嗟に謝る。

もしかしたら話したくなかったことかもしれないのに。


「あ、ほんとに気にしないで。この学校に来る編入生にはよくあることみたいだし。力のせいで普通の学校に馴染めなくてトラブルになるのって」


そういうものなんだろうか……?

私に「気にしないで」と言った通り、全く気にする様子もなく今日の天気を話すような口ぶりでそう言った。


「ちなみに、他のみんなも知らないことなんだけど」


声を潜めた来光くんは小さく手招きをして私に耳を貸すよう促す。

不思議に思いながらも顔を傾ける。


「実は薫先生も編入生だよ」

「え、嘘!」


来光くんは慌てて「しっ」と人差し指を唇に当てる。

咄嗟にごめん、と首をすくめた。