「豊楽センセー! 入部希望者連れてきた!」
ガラ、と勢いよく調薬室の扉を開けた慶賀くん。
中にいた人たちがぱっとこちらを振り返る。
沢山集まった視線に戦いて、慌てて顔の前でぶんぶんと手を振る。
「慶賀くん……! まだ入部するかどうかは決まってないから!」
「ぜってぇ入りたくなるから! ほらほら、巫寿!」
ぐいぐいと背中を押されて調薬室の中へはいる。
「こら慶賀、巫寿くんが困っているから止めなさい」
割って間に入ったのは豊楽先生だった。
「センセー、今日、遠志の調薬でしょ? 余ったやつでまた開発していい?」
「構わんが、試す前に私に声をかけなさい」
はーい、と元気よく手を挙げた慶賀くんは「こっちの机使おう」と私の手を引っ張る。



