「で、次はどこ行くの?」


来光くんがそう尋ね、皆はどうしようかと首を傾げる。


「うんと、もう運動系のはいいかな……。私には合わないみたい」

「なら次は、俺の漢方学部を見に来いよ!」


慶賀くんが所属する漢方学部は高等部からのみ入部が可能で、授業では習わない漢方を作れたり開発することができるのだとか。

顧問は私たちの「神職漢方学」を担当している来生豊楽《きすぎほうらく》先生だ。


思い返してみれば、初めの頃の授業では私と同じくらいの知識だった慶賀くんだけれど、今ではクラスで一番知識もあって道具の使い方も上手かった。


「今日は遠志《おんじ》を使った調薬って言ってたから、調合して持って帰りなよ! あれ、便利だぜ」

「おんじ……?」

「物忘れに効く漢方!」


へえ、と目を丸くする。

そんな漢方薬まで作れるようになるんだ。


校舎に戻ってくると漢方学の授業を受けている特別教室へ向かった。