「危ない所だったね、巫寿ちゃん」
「ホントにね……」
神馬舎から学校のグランドへと続く階段を降りながらふうと息を吐く。
落ち込む嘉正くんに慌ててフォローを入れる。
「でも、馬に乗る経験なんて滅多に出来ないから、ちょっと楽しかったよ! 勇逞さんも面白かったし、動物と話せるって凄いねぇ」
「あれは読心の明だね。授力のひとつの。生き物の心を読む力だよ」
心を読む────だから馬が何を考えているのかが分かったんだ。
あの時私が振り落とされる前にいち早く駆けつけてくれたのも、ハヤテの走る方向を心を読むことで察知できたからからなのだろうか。
すごく便利な授力だ。
私にも未来を見通す"先見の明"と、お母さんから受け継いだ力を増幅させる"鼓舞の明"の二つの授力があるらしい。
実際にその力を使ったことはないし、使い方も引き出し方も分からないけれど、自由に操れるようになればとても便利なのかもしれない。
今度、禄輪さんに聞いたら教えてくれるかな。



