迷いながらもその手を取ると、嘉正くんはいきなり私の腰を掴んだ。 「えっ、嘉正くん……っ」 「いくよ、せーのっ!」 ふわりと体が浮いたかと思うと、直ぐに硬い何かにおしりがついた。 ぎゅっと閉じていた目を恐る恐る開けると、スラリとしたお馬さんの首があって、いつもよりもうんと高い視界が広がる。 「どう、巫寿? 歩いても平気そう?」 「う、うん。大丈夫だと思う」 よし、と笑った嘉正くんは馬のおしりをぽんと軽く叩いた。